2010年02月12日

【取材】NPO法人宮崎文化本舗 石田達也さん (前編)

ダブルヘッダーで、NPO法人宮崎文化本舗さまに取材に行って参りました。
インタビューにお答えくださったのは、代表理事 石田達也さん。
映画が好きで、この業界に入られた石田さん。(お好きな映画は、いろいろあるけれど、強いて挙げるなら
ガープの世界」と「あなただけ今晩は」とのこと)
NPOを立ち上げて10年が経過し、宮崎で(いや全国で)屈指のコミュニティビジネスを展開されている宮崎文化本舗さまにお話をうかがって参りました。

★以下 インタビュー★+。。。+★+。。。+★+。。。+★+。。。+★

CCC 県内外で、非常に著名な文化本舗さんですが、現在の活動内容を教えてください。

石田 多岐にわたるのですが、大雑把に言えば、事務局の代行業務です。宮崎には市民活動をされている方がたくさんいますが、皆さんものすごく忙しいし、大変なんです。イベントをするにしても、講演会にするしても、諸連絡、マスコミ手配、チケットさばきなどをしなければならない。市民活動をされている人はだいたい、仕事を掛け持ちしている人が多いのですが、仕事中にそれらの電話がかかってきても、とれないのが現状です。ですから、こうした方々向けに事務局の代行を行っています。もう1つは、映画館の運営です。映画館は人口60万人いる鹿児島ですら成り立たない業界です。良質の映画を観ることは、文化的な機会を提供するということにも繋がります。また、人生を変えるきっかけを創ったり、そういう機会を創るという意味もあります。今はシネコン一辺倒時代ですが、みんながみんな、ハリウッド映画を観ればいいかというとそうではありませんから。売れなかったら、すぐやめるというのではありません。そもそもは、この映画館の運営の合間(?)をぬって事務局代行業を行っていましたが、今では事務局代行業の方が大きくなってきました。

CCC そもそもは、映画館(キネマ館)から始まったとお読みしました。映画館の運営と事務局代行とでは、その運営や組織、運営の仕組みが違うと思うのですが、どのような運営の仕方をされているのですか?

石田 映画というのは、先ほども申しましたように、芸術・文化のまちづくりには必要なんです。ですが、採算的に厳しいのが現実です。そこで始めたのが事務局代行ですが、これは、民間企業、商店街、行政などさまざまな方からご依頼があります。それぞれ求める内容が違いますので、それぞれ求められる内容に応じて組織形態も運営形態も変えています。ボランティア団体等の事務局を代行する場合には、こちらが持ち出しをすることもあるくらいです。今、宮崎では中間支援的な団体、NPOを支援する団体が求められていると思います。行政は資金的な面でバックアップしますが、広く浅く公平に行うことが求められています。ですが、実際に、NPOの中には人的支援を求めているところも多いのです。ですから、そういったニーズに応え、きちんと仕事、マネジメントをし、それに見合った経費をいただくというのが、私たちの運営の仕方です。

CCC なるほど。今までの事業の積み重ねで、事務局代行のノウハウを蓄積されて来られたのですね。収支計算書を拝読させていただいたのですが、すごい規模のお金が動いています。それでも敢えて、NPO法人でいらっしゃるのは、何か理由があるのですか?

石田 NPO法人というのは、手法であって目的ではありません。こだわっているわけではないですが、有限会社(筆者注:今は合同会社)や株式会社では、ボランティアができません。また、私たちは収益をあげ、当然課税の対象になっています。ボランティアと収益事業の双方を考えたときに、私たちに一番相応しいのはNPO法人だと判断しました。

CCC では、運営はボランティアの方が行っているのでしょうか?

石田 業務をまわしているのは、指定管理も含めて55人です。それから、事業ごとにボランティアを募って事業を行っています。ボランティアは登録制度ではなく、事業の関連性ごとに募った方が、それぞれの興味に基づいてできますので、そのような方法をとっています。

CCC 組織はどのような形態となっていますか?

石田 正会員(決定権がある会員)が18名、賛助会員が200〜300名です。賛助会員が多いのは、キネマ館の映画割引をつけているからですね(苦笑)。
NPO法人の場合、来るものを拒めない制度となっていますので、経営権を乗っ取られないように会費で線引きするようにしています。


CCC 近年、内閣府の緊急雇用対策などでも、社会起業(社会的企業)で地域の雇用を創出できないかと考えられています。また、僕たち大学生の就職も大変になってきています。文化本舗さんは、55人もの方が働いていらっしゃり、地域の中でも非常に大きな組織だと思うのですが、地域の働き口となっていることについて、文化本舗さんが考えていらっしゃることがあれば、教えてください。

石田 私たちの中で基本となる考え方は、「人が動けば金が動く」ということです。人が動くような事業を提案してくれる人であれば、学生であれ、社会人であれ、大歓迎なわけです。もちろん、対象とする「人」が誰か、ということもあります。ですが、いずれにしても、就職しても、合うか合わないか、の世界です。今の若い人は合わなければ、半年で辞めてしまう。だから、若い人には、どんどん提案して、自分でどんどん事業を創れと言っています。事業を創るということは、計画を考え、予算を採ってきて、というところが基本ですが、それができるやりがいがあるはずです。例えば、先週まで開催されていたムーミン展ですが、宮崎で3週間開催して、入場料収入と入場料の1.5倍の物販売上げを上げました。ニーズがあるところには、事業が生まれるチャンスがあるわけです。私たち宮崎文化本舗では、23歳から60歳までの人が働いています。30代から40代までが一番多いですが、今高岡で、地元の人たちと一緒になってがんばっているのは、20代の人です。最初、インターンで私たちのところに入ってきたのですが、インターンのときに、助成金の200万円を自由に使って事業をしてもいいよ、と言いました。そのかわり、責任もきちんととってくれと。そうしたところ、きちんと形にでき、事業として着地をして、今、宮崎文化本舗で働いています。

後編へ続く・・・


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Posted by CCC宮崎 at 01:35│Comments(0)取材
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